鼻や口から入るイヤなものは……?

 鼻や口からから入ってくるイヤなものは何でしょう。……今はコロナウイルスですよね。2番目は花粉……3番目は他人のオナラかな? でも、人間って勝手なもので、花粉症じゃない人は、花粉は気にならないし、他人のオナラの匂いはとてもイヤなのに、自分のオナラの匂いはそれほど嫌悪感を感じないものですよね。但し、オナラというのは、特別な病気の方はともかく、日に10回以下くらいのオナラは〝こっそり〟を含めて、逆に健康の目安になるようですよ。

 では逆に、とってもいいものは何でしょう。フルーツの香り、好きな食べ物の味や歯ざわり……。愛する人とキスをしたときの唇の感触や息遣い……。でもこれも勝手なもので、好きでもない人の唇の感触や息遣いだったら嫌悪感どころか吐きそうになりますよね。つまり、私たち人間という生き物は、あらかじめプラスマイナスの感情を持っているもの応じて、〝とってもいいもの〟〝とってもイヤなもの〟を感じ分けているのです。

他人のオナラのの匂いは、
今はやりの〝3密〟を避けることで解消できます

 では昨今のコロナ禍、花粉症、ついでに他人のオナラといったイヤ~なものから、どうしたらと遠ざかれるのでしょうか。他人のオナラについては、今はやりの〝3密〟を避けることで解消できます(笑)。いい香りを取り入れようとする発想では、アロマテラピーという、植物系の精油成分を蒸留した芳香が鼻や口から入ることによる癒し効果がちまたでもてはやされています。なかでもラヴェンダー系の芳香には不安や軽いうつ症状、不眠症などに効果があるようです。この癒し療法は、古代インドのアーユルヴェーダや古代中国医学でも立証されています。ただ、この療法は各種サプリメントと同様にあくまでも狭い範囲の人工的な医療法であり、私たちの〝心と体〟に包括的・統合的に効果が認められるものとまでは言えないようです。

時には自然の中に身を置く機会を持つ。
この〝癒し効果〟は絶大です。

 あなたは日常的にときどき自然の中に身を置いていますか? 仕事や家事、子育て……日々の暮らしの中で、近くの森や林に……野原や河原などに居る時間がどれくらいありますか? 森の木々の幹に触れ、耳を当ててみる。野原の真ん中に立って両手をいっぱいに伸ばし、大きく息を吸って「ああ~!」っと空に向かって声を出してみる。このときの爽快感、開放感はなにごとにも代えがたいものです。

 実際に、都会のの中で暮らす人と大自然の中で暮らす人の健康度を比較すると、前者のほうが圧倒的に健康度が低く、ストレス度が高いという結果が出ています。  

 だからといって、都会人が急に田舎に引っ越すなんてなかなかできませんよね。でも、日々の暮らしの中で、あえて自然の中に居る時間を増やすくらいのことはできるはずです。仕事の移動時や買い物の途中にちょっと木々の中の道を通ってみる。時には森の中で数分間でいいから古木の霊気に触れてみる。

 この大自然の〝気〟に触れることのなんとも不思議な感覚は、世界中の多くの医療従事者の間でも、不思議だけど否定しようのないものとして認められています。但し、花粉症気味の人はヒノキ、エノキなどの針葉樹は避けて、広葉樹林をお勧めします。大自然の中で、思いっきりオナラをしてみませんか?

この記事の監修者
朝霧高原診療所 院長 昭和大学医学部客員教授 山本 竜隆(やまもと たつたか)

聖マリアンナ医科大学、昭和大学医学部大学院卒業。医師・医学博士。地域医療とヘルスツーリズムの両輪で、地域活性や自然欠乏症候群の提唱などの活動をしている。富士箱根伊豆国立公園に位置する滞在施設「日月倶楽部」では、ヨガや瞑想などのマインドフルネス、企業の健康管理者への指導など雄大な自然環境に身を置いて行う各種滞在プログラムを提供している。
[朝霧高原診療所] https://www.asagiri-kogen-clinic.com/
[日月倶楽部] https://hitsuki-club.com/


ライター有坂 誠人(ありさか まさと)

国際基督教大学(ICU)卒業。長年代々木ゼミナールで国語の講師を務め、ルポライター時代の経験を生かした講義とその温かい人柄で、受験生はもちろん、マスコミのあいだでも「受験の神様」として圧倒的な支持を受けていた。学習参考書も多数出版。退職後は一般書の著述や地方講演でも活動している。著書に「現代文速解・例の方法」「受験生活指導要領」「図解雑学 経営のしくみ」など。

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