大人女性のTシャツの選び方。おばさんスタイルに見えない着こなしテクが知りたい!

|スタイリスト・長友妙子が教えるファッションのセオリー Vol.2

バリエーション豊富でラクに着られるTシャツは、夏場はもちろんオールシーズン出番の多いアイテム。けれど、着方を間違えると手抜きファッションに見えてしまいがちなのも事実で、あえてTシャツを避ける大人の女性も少なくないようです。Tシャツをおしゃれに着られるコツについて、スタイリスト・長友妙子さんに教えてもらいます。

まずはキホンをおさらい! Tシャツのネックライン


クルーネック
首周りのラインが丸い、最もオーソドックスなデザイン。小顔で首が長い人、上半身がほっそりした人が似合う。

Uネック
クルーネックよりも大きく襟元が開いたタイプ。丸顔の人や、骨格がしっかりしている人に似合う。

Vネック
襟元がVの字に開いたデザインで、鎖骨がきれいに見えるのが特徴。丸顔や顔の大きさが気になる人にオススメ。

ボートネック
襟が横に大きく開いたデザイン。面長な顔立ちの人や首が長めの人、上半身がほっそりとした人によく似合う。

3似合う・似合わないは、人それぞれで細かく変わってきます。着こなし方によっても変わるので、ネックデザインはあくまで基礎知識として覚えておきましょう。

クルーネックはマストバイ! シルエットや素材感もしっかり確認して


―長友さんがおすすめする、大人の女性に似合うTシャツのネックデザインを教えてください。

長友:クルーネック(丸首)がおすすめです! Tシャツのネックデザインの中で一番オーソドックスなものなので、種類が豊富で選びやすい。また、顔の形や体型を選ばず、誰もが似合いやすい標準デザインでもあります。首元の開き具合は詰まりすぎず、鎖骨の下辺りが見えるくらいがベスト。逆に、UネックやVネックは選び方が難しいんです。

―UネックやVネックは、小顔効果があったりスッキリした印象に見えたりメリットが多い気がするのですが…。

長友:もちろん、エレガントさやスタイリッシュさは出せますが、カットの深さには気を付けた方がいいんです。詰まりすぎていると首が短く見えるし、開きすぎていると胸の谷間が見えて挑戦的な印象に。首元が露出しているため、年齢が出やすいというデメリットもあります。大人の女性が着るなら、ストールやネックレスでポイントを置くのがいいですね。アイテムに目が行くため首元に現れた年齢をカバーできますし、こなれ感が演出できます。

―ネックデザインの他に、Tシャツ選びで押さえておきたいポイントはありますか?

長友:体型が隠せるゆったりしたシルエットのものは、おばさんっぽく見えてしまいます。ネックデザインに加え、袖の長さや丈感、身頃の幅などトータルのバランスを考えることが大切です。お尻を隠したい人は丈の長いものを選ぶと思いますが、身頃がゆったりしすぎると全体的に大きく見せてしまいます。身頃の幅にゆとりを持たせるなら、丈は短い方がいいですね。逆に、体のラインを強調するようなピッタリしすぎたものも避けたいものです。よく街で見かけるのが、下着の上に背中のお肉がのっている人。一気に老け見えする原因になるので気を付けたいところです。首元や袖、裾に指2本が入る余裕を、目安として覚えておきましょう。

―良かれと思って選んだのが、かえって逆効果になってしまうこともあるんですね。

長友:それと、意外と見落としがちなのがTシャツの素材感。シャキッとしたハリのあるものは、カジュアル度が高く大人に優しくありません。若い人が着るとTシャツの中で体が泳ぐのですが、体に丸みが出てくる年齢になると体に生地が沿わないので太って見えちゃうんです。素材はソフトタッチでちょっと重みがあり、着ると落ち感が出るものを選ぶとボディラインにきれいに沿ってくれます。

強弱”のあるコーディネートで一気に洗練された印象に


―Tシャツは便利なアイテムですが、生活感が出やすいという難しさもありますよね。

長友:Tシャツを1枚で着るというのは、実は年齢を重ねるとハードルが高い着方です。よほどファッションに自信のある人でないと、手抜きをしているように見えることもあるんです。もし1枚で着るのであれば多少、高価格帯な物を選んだ方がいいでしょう。また、Tシャツに合わせやすいのがデニムですが、これもまたおばさんっぽく見せる原因になることも…。Tシャツの着こなしには、強弱をつけるのが一番のポイントになります。

―着こなしに強弱をつけるというのは、具体的にはどういうことですか?

長友:大人の女性がTシャツを一枚で着るなら、それなりの覚悟が必要です。だからこそ大切になるのが、強弱をつけること。おしゃれに気を遣っているという主張が必須です。デニムを合わせるのであれば、ちらっと見えるベルトがおしゃれだったり、靴やバッグ、時計、アクセサリーなどでアクセントをつけて自分の“こだわり”が見えるようにするんです。スニーカーであればコンバースなどのカジュアル度が高いものではなく、白レザーのスニーカーなどきれいで清潔感のあるものを合わせればご近所スタイルが払拭できます。

―Tシャツ×デニムというのは、テクニックが要るものなんですね。

長友: Tシャツに合わせるボトムスとしてオススメなのが、ワイドタイプのジャージーパンツ。エレガントな見え方になりますし、どんな人でもスタイルアップのかなうアイテムです。Tシャツは短めの丈で、ワイドパンツもアンクル丈を選べば体型に自信のない人もスタイリッシュに見えますよ。

―ジャケットやカーディガンなど、羽織り物をプラスするのも印象が変わりますよね。

長友:羽織り物は、誰でも簡単にカジュアルアップできる便利なアイテム。夏の屋外など、羽織りが暑苦しく見えるような場所では手に持つだけでOK。こだわりを見せることで、洗練された印象になりますよ。羽織りでオススメしたいのが、ニットジャケット。動きやすいしシワにならないし、体に沿うのでとてもきれいに着られる。Tシャツと非常に相性がいいんです。ニットと聞くと秋冬限定のイメージを抱くと思いますが、夏用もあるので探してみてください。


Tシャツは生活感が出やすいという一面はありつつ、少しのポイントを押さえるだけでおしゃれがかなう便利なアイテム。コーディネートに大切なのは、強弱をつけること。自分なりのこだわりを取り入れて、大人の女性にしかできない着こなしを楽しんでくださいね。


\ 教えてくれたのは… /


 スタイリスト 長友ながとも 妙子たえこ

スタイリスト歴40年。ファッション誌・テレビ・広告などでファッションモデルや芸能人、著名人を中心に著名人を中心に300名以上を担当。現在は企業のブランディング、PRアドバイザー、講演活動など活躍の場を拡大、一般人に向けたパーソナルスタイリストとしても高い評価を得ている。2020年には高島屋の「サロン ル シック」とのコラボレーション「Nagatomo for Salon le Chic」のディレクションも行う。https://stylist-nagatomo.com/

 [繊細な人の仕事がうまくいくファッションのルール]

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