代替療法の種類を徹底解説! 【5】直接、体に働きかける手技療法(徒手療法)
西洋医学による医療と代替医療を統合させて行われるのが統合医療。代替療法は、次の5つに分類できます。
- 生活環境や人間関係を改善する療法
- 食べ物や飲み物を用いた自然療法
- 体を動かす療法
- 主に心に働きかける香りやイメージ療法
- 直接、体に働きかける手技療法(徒手療法)
今回は、「直接、体に働きかける手技療法(徒手療法)」について紹介しましょう。
【直接、体に働きかける手技療法(徒手療法)】
- 鍼灸
- あん摩・指圧・マッサージ
- リフレクソロジー
- カイロプラクティック
- オステオパシー
- 整体
- 温熱療法
- 交流磁気治療
鍼灸
はりを体に接触・刺入したり、皮膚の上で艾を燃焼させたりすることで身体機能を調整し、抵抗力や自然治癒力を増強して疾病の治療や予防、または健康増進を図る東洋医学における治療法。日本は鍼灸の研究や普及が世界で最も進んでいるといわれ、技術の高さにおいても「日本鍼法」と呼ばれ高く評価されています。
【鍼灸の効果】
- 新陳代謝が活発になる
- 血行が盛んになる
- 痛みが和らぐ
- 免疫力が高まる
- 抗ヒスタミン作用(気管の収縮を抑える)
- α波の誘発(リラックス時に現れる脳波への誘導)
- 凝って硬くなった筋肉を解す
あん摩・指圧・マッサージ
手技を用いて、個々の患者の症状を緩和する療法。
【あん摩】
古代中国医学の臓腑経絡説に基づく主義で、薄い衣服を着た上から母子圧迫(指圧)と揉挰(もむこと)を加え、体の中心部から抹消に向かって遠心性の刺激を与えるのが特徴です。
【指圧】
生理学、病理学に基づく日本独自の手技療法。衣服の上から手根圧迫と母指圧迫を加え、あん摩と同様に体の中心部から抹消に向かって遠心性の刺激を与えます。
あん摩も指圧も、経穴(ツボ)経路(ツボとツボを結ぶ線)を意識しながら施術します。共に血流を促進し、筋緊張を解き、精神的なリラクゼーションにも役立つことから、温泉などの保養地や個人治療院などで長い間民間療法として普及してきました。
【マッサージ】 現代医学の理論をベースとした、フランス発祥の療法。オイルやクリーム、パウダーなどの滑剤を用いて直接素肌の上から施術を行う点と、体の抹消から中心に向かって求心性の刺激を加える点が原則です。リンパ・血液の流れ・筋の走行に沿って施術します。
リフレクソロジー
手足の反射区を刺激することで血液やリンパの流れを促進して内臓の働きを高め、症状の改善を図る手技療法。血液やリンパの流れが促進され、老廃物を排出して内臓諸器官の機能を正常化する効果があります。また、体の不調だけでなく、過度のストレスによって自律神経のバランスが損なわれている人にも効果的です。
カイロプラクティック
骨格、特に背骨の歪みを手技によって強制し、神経生理機能を回復し、症状の改善および健康を増進させようとする治療法。WHOでは、非医学医療として有効性を認めています。
患者の病歴から姿勢分析などの検査を行った上で、治療の順序を組み立て、手技のテクニックを用いて矯正していきます。姿勢分析によってある程度病気の早期発見と早期治療が可能になるので、予防医学として利用する人も数多くいます。
カイロプラクティックの適応症は、以下の通りです。
- 腰痛
- 椎間板ヘルニア
- 頭痛
- 頸肩腕症候群
- むち打ち症
- 肩こりや膝の痛みなど、運動器疾患系
- 自律神経失調
- 側弯症
- 高低血圧症
また、自律神経を介して内臓の機能改善、ストレスの緩和などにも有効で、高齢者へのケアや生活習慣病、慢性病などの効果についても注目されています。
オステオパシー
手技によって筋肉・筋膜・骨格・頭蓋・内臓・神経系・リンパ・血管などの障害と歪みを解放する治療法。全身の歪みを正し、生体のリズムと可動性を正常化することがオステオパシーの治療目的です。ソフトタッチで体のあらゆる部分にアプローチするため、施術中の衝撃や痛みがない極めて緩やかな施術。
オステオパシーの主な適応症は、以下の通りです。
- 冷え性
- 生理痛
- 子宮筋腫
- 外反母趾
- 慢性的なむくみ
- 片頭痛
- 肩こり
- 腰痛
- 膝関節炎
- 脊柱側弯症
- 股関節症
- 内斜視
- 言語の遅れ
整体
背骨、骨盤、筋肉の異常によって引き起こされるさまざまな症状に対して、主に手技によって正常な状態に戻すことで、自然治癒力を活性化させて健康に導く療法。基本的には骨格(関節)や骨盤の調整を施すことで経路の流れを促し、筋肉、神経、血管、リンパ、ホルモン等に作用させ、細胞割賦、筋肉の活力促進、血行障害の改善、体液の浄化などをもたらします。
温熱療法
機器を利用して局所や全身の血行を改善させ、筋肉の緊張を取り除き、痛みを緩和して免疫力を高める治療法。がんの治療法として用いられ、通常の治療法では治すことが難しい局所進行がんや再発がんに有効だといわれています。
通常は単独で用いるのではなく、放射線や抗がん剤、免疫療法などと併用されます。また、毎日行うとがん細胞が熱に強くなってしまい、温熱療法の効果が下がることから、3日ほど間隔を空けて治療します。
交流磁気治療
治療の補助手段として、交流の磁力線を発生させる治療器を用いる治療。肩こりや血行の改善、白血病細胞のアポトーシス、血中セロトニンの増加などその効果は多岐にわたり、臨床現場でも導入されている治療法です。無痛・無刺激で着衣のまま寝姿勢で使用できるため、患者に負担がないのが特長。他の療法との併用で、さらなる効果が期待できます。
代替療法について、5つのカテゴリに分類して解説してきました。こんなにたくさんの治療法があると知って、心のよりどころが増えたと感じる人もいるのではないでしょうか? 自分の症状や病気に対して、諦めや我慢をしているのだとしたら「自分に合った治療法が他にあるかもしれない!」と、このコラムを思い出してみてくださいね。
この記事の監修者
朝霧高原診療所 院長 昭和大学医学部客員教授 山本 竜隆
聖マリアンナ医科大学、昭和大学医学部大学院卒業。医師・医学博士。地域医療とヘルスツーリズムの両輪で、地域活性や自然欠乏症候群の提唱などの活動をしている。富士箱根伊豆国立公園に位置する滞在施設「日月倶楽部」では、ヨガや瞑想などのマインドフルネス、企業の健康管理者への指導など雄大な自然環境に身を置いて行う各種滞在プログラムを提供している。
[朝霧高原診療所] https://www.asagiri-kogen-clinic.com/
[日月倶楽部] https://hitsuki-club.com/
ライター 濱岡 操緒
大学卒業後、大手ゲーム会社に就職。広報宣伝部にて主に社内報や広報誌などの編集主幹を務める。退職後は母親向けの媒体、ウエディング関連の媒体などを手掛ける編集プロダクションに所属。現在はフリーランスとして書籍・雑誌・WEBメディアなどの編集・執筆、撮影ディレクションなど幅広く活動中。プライベートでは1児の母。最近の健康習慣は、ミトコンドリア活性化。