現代人に必要な健康のキーワードは“断捨離”。もう、知識を増やすだけの健康法はやめよう

ものに溢れ、足りないものはなく、欲しいものがあればすぐに手に入る今の時代。「欲しい」と思ったものが本当に必要かを深く考えることなく、問題を抱えるや否や、それを解決する何かを手に入れようとする。健康についても同じことが言えます。「いま抱えている不調を何とかしたい」「もっと良い状態になりたい」と願うと同時に解決するものをを渇望し、探し、手に入れます。

このように、まるで足し算のように物と知識を手に入れている現代人。けれど、果たしてそれは本当に必要なものでしょうか? 必要なのは、持ちすぎてしまったものを自分の周りから排除していく引き算、断捨離ではないでしょうか。今回は、健康になるための“断捨離”すべきものについてお話ししましょう。

【健康における断捨離とは…】

  • 断…体に有害なものや情報が入ってくるのを断つ
  • 捨…抱え込んでいる不健康な要素や習慣を捨てる
  • 離…健康と引き換えにしてきた一見便利なものや生活スタイルを手離す

【断捨離1】太陽のリズムとのズレ

本来、人の生活は日の出とともに始まり、日没とともに終わる太陽のリズムに合ったものでした。それが今では夜になっても明るい照明の下で活動を続け、頭を使い続けています。太陽には、人間の体内時計を整える重要な役割があります。太陽のリズムと人の生活リズムにズレが生じているということは、体内時計の乱れにつながるということ。このズレを断捨離すべく、明るいうちに活動し、暗くなったら休息する習慣を身に付けるべきでしょう。

【断捨離2】月齢からのズレ

太陽と同様に、月もまた古来より人体に影響を及ぼすことが指摘されてきました。

  • 新月から満月の時期…満月に向けてエネルギー(気)が充実していく時期で、人の体も吸収する働きが強くなる。
  • 満月…栄養や水分を取り込む力が最も強くなるため、太りやすい。月のエネルギーが最高潮であるため、気分が不安定になることも。
  • 満月から新月の時期…月が徐々に欠けていくように、人体も余分なものを排出しやすい時期。デトックスやダイエットに向いている。
  • 新月…排出がピークに達するため、エネルギー不足に陥る。気分が落ち込むことも起きやすくなるので、休養が大切。

月の満ち欠けに沿った生活を送ることで、体調や精神状態が整うのを実感できます。見上げても月が見えない高層ビルが立ち並ぶような場所ならば、月の満ち欠けを示すアプリやカレンダーを活用すれば良いのです。

【断捨離3】風土に合わない食

それぞれの土地や地域には、その環境に合った食べ物が育ちます。環境に適応した食べ物を食べることによって、人は環境とつながることができます。日本全国はおろか世界中の食べ物が簡単に手に入り、食べることができる今の時代。しかし、風土に合わないものを食べることは、環境と体のつながりを断ってしまう危険性があるということは覚えておきたいところです

【断捨離4】旬に反する食べ物

食べものと季節は、切っても切り離せません。旬に反する食べ物を摂取することは、季節に反する作用を体に与えることに…。季節に合ったものを食べることで、気温や湿度などの変化に対応することができるようになります。

【断捨離5】添加物・防腐剤などの化学物質

加工食品には、驚くほど多くの化学物質が含まれています。もちろん、一つひとつの化学物質に関しては安全性がテストされ、使用量も制限されています。しかし、何種類もの物質が組み合わされた時、人体にどのような影響があるのかについては何も分かっていません。一番良いのは加工食品を断ち、吟味した素材を使い自分で調理したものを食べること。完璧に実現するのが難しいのであれば、自分のできる範囲で断捨離することを心掛けたいものです。

【断捨離6】電磁波

電化製品、パソコン、スマートフォン…生活の中で電磁波を発するものを挙げれば切りがなく、現代人は体にかなりの電磁波をため込んでいるといわれます。電磁波の完全な断捨離は現実的ではありませんが、少しでもその害を少なくする方法が週に一度のデジタルデトックス。山の中で電気を使わず一日過ごす、電線のない広い公園の芝生の上をはだしで歩くなど、そのときの自分ができる範囲のことで構いません。一気に体調が良くなることはないかもしれませんが、頭がスッキリして気分が晴れるなど「やって良かった」と思えるはずです。

【断捨離7】遠方への移動

リフレッシュするための旅行で、疲れ果てて帰ってくることはありませんか? これは、自力で動ける範囲を超えた距離を、短時間で移動したという事実が原因にあると感じます。人が自力で動けるのは1時間4キロメートル、1日に換算すると30~40キロメートルですが、飛行機や新幹線を使えばあっという間に移動できる距離です。便利なことこの上ないのですが、本来持っている能力を超えることが体に何らかの悪影響を与える可能性は否定できません。これを防ぐには遠方への旅行をやめて、近場のリフレッシュできる場所で心身を癒やすこと。それでも行きたい場所があるのなら、旅行から帰った後に移動疲れを癒す時間をきちんと取ることが必要です。

【断捨離8】雑多な健康法

次々と新しいものを取り入れ、まるでジプシーのように健康法を渡り歩く人は少なくありません。こんなふうに雑多な方法を試したところで、いったいどんな効果が得られるでしょう。最初に述べたように、現代人の健康に必要なのは“何をするか”ではなく、断捨離することが先決。まずは健康ページばかりが残るインターネットの検索履歴を消去し、健康番組から離れ、本棚にある健康に関する本を処分することから始めてみても良いかもしれません。

【断捨離9】地球への負荷

二酸化炭素の排出量を増やし、地球温暖化を招き、環境を破壊するに至った人類は、地球にとって負荷でしかありません。そしてその一つひとつが人間に返っていることを自覚し、行動を始めなければならない時期が来ています。自然と体はつながっています。地球の健康は、人間の健康なのです。

この記事の監修者
朝霧高原診療所 院長 昭和大学医学部客員教授 山本 竜隆(やまもと たつたか)

聖マリアンナ医科大学、昭和大学医学部大学院卒業。医師・医学博士。地域医療とヘルスツーリズムの両輪で、地域活性や自然欠乏症候群の提唱などの活動をしている。富士箱根伊豆国立公園に位置する滞在施設「日月倶楽部」では、ヨガや瞑想などのマインドフルネス、企業の健康管理者への指導など雄大な自然環境に身を置いて行う各種滞在プログラムを提供している。
[朝霧高原診療所] https://www.asagiri-kogen-clinic.com/
[日月倶楽部] https://hitsuki-club.com/


ライター 濱岡 操緒(はまおか みさお)

大学卒業後、大手ゲーム会社に就職。広報宣伝部にて主に社内報や広報誌などの編集主幹を務める。退職後は母親向けの媒体、ウエディング関連の媒体などを手掛ける編集プロダクションに所属。現在はフリーランスとして書籍・雑誌・WEBメディアなどの編集・執筆、撮影ディレクションなど幅広く活動中。プライベートでは1児の母。最近の健康習慣は、ミトコンドリア活性化。

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