代替療法の種類を徹底解説! 【1】生活環境や人間関係を改善する療法

統合医療は、西洋医学による医療と代替医療の二つを統合することによって行われます。そして、前回のコラムでお話しした通り統合医療は単なる「寄せ集めの医療」ではありません。決して「何でも試してみればいい」というわけでないのです。各代替療法の特徴(得意・不得意)に基づき、個々人の状態に応じて効果的にマッチングさせていく必要があります。

代替療法はさまざまなカテゴリーに分類できますが、皆さんにできるだけ身近なものとして捉えてもらうために、次の5つに分けてみます。

  1. 生活環境や人間関係を改善する療法
  2. 食べ物や飲み物を用いた自然療法
  3. 体を動かす療法
  4. 主に心に働きかける香りやイメージ療法
  5. 直接、体に働きかける手技療法(徒手療法)

今回は、「生活環境や人間関係を改善する療法」について詳しく紹介しましょう。音楽療法・サイマティックス療法・温泉療法・カウンセリング・カラーセラピーが包含されます。

音楽療法


音楽療法には、「能動的音楽療法」と「受動的音楽療法」の二種類があります。

能動的音楽療法…歌を歌ったり楽器を演奏したりすることによってコミュニケーションを促進したり、気分転換を図ったり、生活の質(QOL)の向上を目指す。

受動的音楽療法…リラックスした状態で音楽を聞いたり、医療現場でBGM音楽として利用したりする。

どちらも特別な訓練を受けた音楽療法士が、音楽を用いて体験者のイメージを呼び起こしながら無意識の世界を引き出し、その人の抱えている問題点を解決したり、心を癒すなど心理療法的側面からケアをしていきます。児童や心の病を持つ人、認知症患者など幅広い層に 対して用いられます。

サイマティックス療法


日本では「音響療法」とも呼ばれる、“音”の振動を用いた治療法。病気を乱れた秩序の状態として捉え、乱れた振動数に対して正常な振動数を共鳴させることで体を正常な状態に戻すという考えのもと行われます。

ペースメーカーを使用している人、金属やセラミックスなどの医療部材を体内に入れている人、妊娠中の人は適応外ですが、その効果と適応症は次の通りです。

【効果】

  • 脳波におけるα波の増加
  • 四肢抹消温度の上昇
  • 細菌やウイルスの増殖抑制
  • 肝臓の酸素消費量の増加
  • 高血圧の改善
  • 鎮痛効果
  • 浮腫の改善
  • 骨折や組織損傷等の治癒促進

【適応症】

  • 骨折、骨粗しょう症、関節炎などの整形外科疾患
  • 神経疾患
  • 高血圧症などの循環器疾患
  • 消化器疾患
  • 皮膚疾患

温泉療法


温泉大国日本では、昔から人々の間で湯治が行われ、療養泉は身近な癒しの場として利用されてきた歴史もありますね。温泉は人体に対して物理的・温熱的・化学的に作用します。

物理的作用…入浴することで浮力が生じて体が軽くなり、浴中運動が極めて容易になる作用。

温熱作用…微温浴(おおむね38℃)による神経系、循環器系などの興奮を抑える作用や

高温浴(42℃以上)による神経系、循環器系の刺激作用。

化学的作用…炭酸水素塩泉(重曹泉)の飲用が胃腸病に、硫黄泉は血管を拡張させるので循

環器病に良いといった作用。

リラクゼーション効果も高いため自律神経のバランスを図り、心身をリフレッシュする作用もあります。

各温泉の成分、温度、情緒的環境、利用者の生活状態や病態などによって効果が異なりますが、療養泉(浴用)の一般的な適応症は

  • 神経痛
  • 筋肉痛
  • 関節痛
  • 五十肩
  • 運動麻痺
  • 関節のこわばり
  • うちみ
  • くじき
  • 慢性消化器病
  • 痔疾
  • 冷え性
  • 病後回復期
  • 疲労回復

などがあります。

カウンセリング


心の悩みや精神的な問題を抱えた相談者に対し、面談などによって心理的にサポートすることをカウンセリングといいます。公的な資格としては公認心理師が、代表的な資格としては臨床心理士があります。

相談者とカウンセラーが直接向き合う心理面接によって心の傷(トラウマ)が癒されたり、心の病が回復に向かい本人が生きる希望を見いだしたり、家庭や職場での人間関係が改善することは数多くあります。 心理カウンセラーは黒子的な存在ゆえ、その役割の重要性や臨床的効果が分かりづらいものです。しかし、統合医療の観点からすると心のケアを専門的に行うカウンセリングは大変効果的な療法であり、臨床経験豊富なカウンセラーはチーム医療に欠かせない重要なスタッフだといえます。

カラーセラピー


色彩療法(カラーセラピー)は古代ギリシャ時代のヒポクラテスが始め、ソクラテスが確立したといわれるほど古く、現代でもヨーロッパを中心に欧米社会に広く浸透しています。さまざまな光の波長(色彩)が人体に与える心理的・生理的効果を利用して治療に用いられます。

目から入った光の情報は脳の視床下部に届き、心理・精神状態に大きく作用することが分かっています。例えば、暖色系は暖かい感じを、寒色系は寒い感じを与えることはよく知られていることですね。メイクやファッション、部屋のインテリアなど、自分が気に入った色を身に着けたり見たりすることで気分転換が図れ、ストレス解消に役立つわけです。

また、注目したいのが皮膚からも色の情報を受け取っているという点。皮膚から入った情報が自律神経に作用し、身体情報やホルモン分泌に影響を与えるのです。例えば青色は血圧を下げ、ピンク色は攻撃性を抑えることなどが確認されており、色彩療法を取り入れている海外の病院では高血圧患者には寒色系の部屋、低血圧の患者には暖色系の部屋に入院してもらったところ、薬を一切使わずに二週間ほどで血圧が正常な範囲に戻ったという報告もあります。

特定の色が心の状態や行動だけでなく、生体の生理機能にも影響を与えることが明らかになってきたことから、医療面での応用が期待されています。一般的な色彩療法としては

  • 光線を体に照射する色彩光線療法
  • 各種の水晶を用いたクリスタルヒーリング
  • 陰陽五行に基づく風水
  • パーソナルカラーを用いたカラーコーディネート
  • オーラソーマ

などがあります。

読者の皆さんの中にも、紹介した代替療法を受けたことのある人もいるのではないでしょうか? 「何となく良さそうだから」「リフレッシュできそうだから」という理由で受けても良いですが、それぞれの効果を知ればより自分に合った療法を見つけることができるはずです。次回は、「食べ物や飲み物を用いた自然療法」についてお話ししましょう。

この記事の監修者
朝霧高原診療所 院長 昭和大学医学部客員教授 山本 竜隆(やまもと たつたか)

聖マリアンナ医科大学、昭和大学医学部大学院卒業。医師・医学博士。地域医療とヘルスツーリズムの両輪で、地域活性や自然欠乏症候群の提唱などの活動をしている。富士箱根伊豆国立公園に位置する滞在施設「日月倶楽部」では、ヨガや瞑想などのマインドフルネス、企業の健康管理者への指導など雄大な自然環境に身を置いて行う各種滞在プログラムを提供している。
[朝霧高原診療所] https://www.asagiri-kogen-clinic.com/
[日月倶楽部] https://hitsuki-club.com/


ライター 濱岡 操緒(はまおか みさお)

大学卒業後、大手ゲーム会社に就職。広報宣伝部にて主に社内報や広報誌などの編集主幹を務める。退職後は母親向けの媒体、ウエディング関連の媒体などを手掛ける編集プロダクションに所属。現在はフリーランスとして書籍・雑誌・WEBメディアなどの編集・執筆、撮影ディレクションなど幅広く活動中。プライベートでは1児の母。最近の健康習慣は、ミトコンドリア活性化。

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