わずかな自然で体は変わる!? 「自然欠乏症候群」を知る12のチェックリスト

前回のコラム「『自然欠乏症候群』の原因と症状。“便利”と“快適”を少しだけ手放してみませんか?」でお話しした通り、私たち現代人の多くが「自然欠乏症候群」に陥っています。 今回は、自然欠乏症候群の可能性がどれほど高いかが分かるチェックリストを紹介しましょう。このリストは“〇個チェックが付いたら重度”と判定するものではなく、自然欠乏症候群にならないためにどう暮らせば良いかを知る手段として使うことをお勧めします。自分のできる範囲で、少しずつで大丈夫! 自分の生活に、人生に、自然を無理なく取り入れるにはどうしたら良いのか。このチェックリストは、自分の優先順位を見直す大きな役割となるはずです。

【チェック1】日の出と日没を意識して生活している

人間には日中に活動し、夜は眠る生活を送るように設計された体内時計が備わっています。体内時計のリズムが乱れると、心身が不安定になり、全身の病気の兆候が現れ、筋力や免疫力低下にもつながります。まずは、夜型を改めて朝型に切り替えることを心掛けましょう。

【チェック2】自然素材の住宅に住んでいる

人工素材は日本の風土に適しているとはいえず、体の不調を引き起こす原因にもなります。住まいに自然素材が少ないなら、カーテンやクッション、観葉植物など簡単なものから取り入れてみてください。

【チェック3】静寂さや、自然の音を感じやすい場所で活動している

都市部でイヤホンを着ける人が多いのは、雑音や騒音をシャットアウトする一種の自己防衛。自然の中は静寂に感じる一方、都会と同じくらいの音量が出ているときもあります。それでもイヤホンを着けたいと思わないのは、自然の音が人の心に癒しをもたらすからです。

【チェック4】自然の香りを感じる環境で活動している

身の回りから漂うにおいが、排ガスや香水、芳香剤などの化学物質ばかりではありませんか? エッセンシャルオイルやハーブウォーターなどを取り入れ、自然の香りを感じ取ることも自然欠乏症候群の予防になります。

【チェック5】自然素材の衣服を着ることが多い

さまざまな衣類に使われる合成化学繊維は、安価で手入れが楽など多くのメリットがある反面、肌に刺激を与えるものは少なくありません。あなたがいま抱えている肌トラブルは、衣類の素材が原因かもしれません。人類と化学繊維との付き合いは一世紀にも満たず、人間はまだ化学繊維に慣れていないのです。

【チェック6】携帯電話やパソコンに接することが少ない

携帯電話、パソコンが人体に及ぼす影響を語る上で外せないのは、電磁波の問題。使用頻度を控えるなどの対策が必要ですが、神経質になりすぎるのも良くありません。それよりも自然に触れる機会を増やし、心身の健康を高めるように心掛ける方が建設的です。

【チェック7】長時間の自動車運転や電車通勤(通学)をしていない

通勤時間が長いほど、幸福度が低下するというアメリカの調査結果があります。常に心身の調子が思わしくないのは、通勤時間が原因の可能性も…。住まいや仕事先を変えるのは現実的ではありませんが、少しでも負担を軽くすることを考えてみてください。

【チェック8】主に自然食を摂取し化学薬品は摂取していない

自然を取り込む最も有効な方法が、食事。食の欧米化が進み、食品添加物も多い時代ではありますが“旬のものを食べる”、“地元産の野菜を食べる”など、できることから実践してみましょう。

【チェック9】飲料物は、自然水や有機栽培のものを選んでいる

何げなく飲んでいるものにも、多くの化学薬品が入っていることがあります。特に注意が必要なのは、“健康に良い”とうたう機能性飲料。神経質になりすぎるも良くありませんが、できるだけ添加物が少ないものを選びましょう。

【チェック10】電気製品は用いていない

電子レンジやドライヤーなど、家電には電磁波を多く発生させるものも少なくありません。電気製品を使う回数を減らすなど、少しでも電磁波を避ける工夫をしてみましょう。

【チェック11】日常的に森林浴、日光浴などをしている

今の文明生活の中で、無理なく自然を取り入れられるのが森林浴・日光浴です。木陰から注がれる日光を感じ、木や土、植物のそばで過ごす時間を持つだけでも十分。ささやかでも自然を感じる時間が、自然欠乏症候群の予防になります。

【チェック12】化学薬品を塗布または吸入していない

化粧品、水道水、車や工場、家庭から排出される汚染物質、PM2.5…。想像以上に、化学物質は体内に入り込んでいます。気にしすぎは良くありませんが、どのくらい化学物質が体内に入り込んでいるかを自覚する必要はあるでしょう。

いかがでしたか? 12のチェック項目に対して、「いいえ」としか答えられなかった人も多いのではないでしょうか。しかし、だからといって自然欠乏症候群は予防できないと諦める必要はありません。まずは、日々の生活を見直すところから始めてみてください。自分ができる範囲でも、自然欠乏症候群を軽減させることはできますから。

この記事の監修者
朝霧高原診療所 院長 昭和大学医学部客員教授 山本 竜隆(やまもと たつたか)

聖マリアンナ医科大学、昭和大学医学部大学院卒業。医師・医学博士。地域医療とヘルスツーリズムの両輪で、地域活性や自然欠乏症候群の提唱などの活動をしている。富士箱根伊豆国立公園に位置する滞在施設「日月倶楽部」では、ヨガや瞑想などのマインドフルネス、企業の健康管理者への指導など雄大な自然環境に身を置いて行う各種滞在プログラムを提供している。
[朝霧高原診療所] https://www.asagiri-kogen-clinic.com/
[日月倶楽部] https://hitsuki-club.com/


ライター 濱岡 操緒(はまおか みさお)

大学卒業後、大手ゲーム会社に就職。広報宣伝部にて主に社内報や広報誌などの編集主幹を務める。退職後は母親向けの媒体、ウエディング関連の媒体などを手掛ける編集プロダクションに所属。現在はフリーランスとして書籍・雑誌・WEBメディアなどの編集・執筆、撮影ディレクションなど幅広く活動中。プライベートでは1児の母。最近の健康習慣は、ミトコンドリア活性化。

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