健診結果と食生活、睡眠習慣。オプティマムヘルスを実現する3つの指針

万人に共通する理想の健康状態というものは存在せず、最高の健康は人それぞれ異なります。自分はいま健康な状態なのか、どういう食生活が自分に合っているのかを考えてみましょう。この二つをしっかり把握した上で、生活リズムや環境を整えていくことが「自分にとっての最高の健康」=オプティマムヘルス*実現への一歩となります。今回は、健康を見つけるための3つの指針についてお話ししましょう。

*それぞれの人にとっての「最高・最善であり最適な健康状態」を目指す健康観

【指針1】健診結果は、基準値だけでなく“自分の正常値”を把握しよう


健康診断の検査結果で、皆さんは何をチェックしますか? おそらく「基準値を超えていることを示す印が入っている項目があるかどうか」ではないでしょうか。そして、印がなければ安心と解釈している人がほとんどでしょう。

しかし、基準値というのはあくまでも集積したデータに基づくもの。必ずしも個人の値と合致したものではありません。一般的には「問題あり」とされる数値でも、その人にとっては正常値だというのはよくあること。だからこそ、自分にとっての正常値を知ることがとても大切になります。他人の数値は関係ありません。参考にするのは、過去の自分のデータです。

検査結果報告書の数値を、数年分チェックしてみましょう。これが、自分の正常値を知る手掛かりとなります。体調に変化がなく数値にも変動がないなら、それが自分の正常値。きちんと記録しておくことで必要以上に不安を抱え込むことがなくなり、万が一病気になったときにもその数値が治療の方向性を決めるのに役立ちます。

数値を記録しておきたい項目は、次の5つ。

  • 白血球数
  • 血色素(ヘモグロビン)値
  • γ(ガンマ)GTP値
  • 血圧
  • HbA1C(ヘモグロビンA1c)値

ただし、血圧に関してはわずかなことで変動するため、病院で測った数値に頼るのは推奨できません。毎日血圧を測り、記録する習慣をつけることをオススメします。

【指針2】自分にとって健康的な食生活を知ろう


人間だけでなく、あらゆる生物が食に支えられ、食ほど体調に直結するものはありません。ここで問題となるのが、「何を食べるか」「どう食べるか」ということです。

健康的な食生活を送るためには、自分の食のタイプを知り、それに従うことが欠かせません。1つの食のタイプの比較としては、

  • 動物性たんぱく質をメインに摂取した方がいい狩猟型
  • 糖質をメインに摂取した方がいい農耕型

があります。

自分のタイプを知るためには、次のような実験をします。

  1. 最初の1週間は肉や魚、ナッツ、油脂類を積極的に摂取し、ご飯やパン、麺類といった糖質は控える狩猟型の食生活を送る。
  2. 次の1週間は肉や魚、油脂類を控え、糖質中心の農耕型の食生活を送る。

二つの食生活で、体調に変化が現れます。自分にとって適した変化の現れた方が、自分に合った食生活であり、自分のタイプです。

食事の回数についてはどうでしょうか。厚生労働省は「一日三食」を推奨していますが、実際は人それぞれ異なるのです。朝からおなかが空く人もいれば、朝食を食べると頭がボーッとしてしまう人もいます。

  • 決まった時間に食事を取るのではなく、おなかが空いたら食べる
  • 食べた後にすぐに活動するのではなく、食べた後は食休みを取る

ことを実践すると、自分に合った食事の回数を知ることができます。 そして、忘れてはならないのが“不自然なもの”を体に入れないということ。何を食べるか、どう食べるかは極めて個人的なことですが、農薬や添加物などの化学物質が入っていない食材を吟味するのは全ての人に共通して言えることです。

【指針3】睡眠は時間よりも質を重視しよう


睡眠において大切なのは、時間よりも質。寝付きが良い・ぐっすり眠る・スッキリ目覚めるという3つを実現することが大切です。この3つがそろって初めて、質の良い睡眠といえます。睡眠の質を上げる方法について、いくつか紹介しましょう。

【就寝3時間前までに食事を済ませる】

食後、内臓は消化・吸収の活動に入ります。そのまま就寝してしまうと内臓は睡眠中も働き続けることになり、十分に休みが取れません。眠りが浅くなる、目覚めが悪くなるという弊害の他、胃が重く感じて寝付きが悪くなることもあるでしょう。

【温度・湿度を調節する】

暑すぎたり寒すぎたりすると、体温調節がうまくいかなくなり、寝付きが悪くなります。寝具の調節やエアコンの使用で、寝室を快適な空間に整えましょう。

【“ながら寝”を避ける】

布団に入りながらのスマートフォンの使用は避けましょう。スマートフォンから発するブルーライトは、目の奥まで到達する特性があります。目から強い刺激が入ることで脳が興奮状態に陥るため、なかなか寝付けなくなってしまいます。

入眠のためのヒーリングミュージックは別として、音楽を聴きながら眠るのも脳を興奮させるため睡眠の質を下げます。

では、読書についてはどうでしょうか? 本が睡眠を妨害するかどうかは内容次第。ページをめくる手が止まらないような展開のストーリーなど、自分にとって興味深い内容の本だと脳が興奮状態に陥り、眠りを遠ざけます。布団の中で読むなら、退屈な本が良いのかもしれません。

【寝室を暗くする】

室内が明るいままでは自律神経が興奮モードの交感神経優位の状態に入り、なかなか寝付くことができません。リラックスモードの副交感神経を優位にするには、部屋の照明を落として暗くする必要があります。

【目が覚めたらまず朝日を浴びる】

本来、人間の体内時計は25時間でセットされています。1日24時間という地球のリズムに合わせるためには、朝日を浴びて体内時計をリセットさせる必要があります。スッキリと目覚めるためには、夜明けとともにカーテンの向こうが次第に明るくなり、それと同時に少しずつ眠りが浅くなって目が覚め、カーテンを開けるという行動に出る流れを作ること。

この記事の監修者
朝霧高原診療所 院長 昭和大学医学部客員教授 山本 竜隆(やまもと たつたか)

聖マリアンナ医科大学、昭和大学医学部大学院卒業。医師・医学博士。地域医療とヘルスツーリズムの両輪で、地域活性や自然欠乏症候群の提唱などの活動をしている。富士箱根伊豆国立公園に位置する滞在施設「日月倶楽部」では、ヨガや瞑想などのマインドフルネス、企業の健康管理者への指導など雄大な自然環境に身を置いて行う各種滞在プログラムを提供している。
[朝霧高原診療所] https://www.asagiri-kogen-clinic.com/
[日月倶楽部] https://hitsuki-club.com/


ライター 濱岡 操緒(はまおか みさお)

大学卒業後、大手ゲーム会社に就職。広報宣伝部にて主に社内報や広報誌などの編集主幹を務める。退職後は母親向けの媒体、ウエディング関連の媒体などを手掛ける編集プロダクションに所属。現在はフリーランスとして書籍・雑誌・WEBメディアなどの編集・執筆、撮影ディレクションなど幅広く活動中。プライベートでは1児の母。最近の健康習慣は、ミトコンドリア活性化。

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