女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」。エストロゲンのはたらきは、妊娠出産の準備だけではありません。血管をしなやかに保ち、骨、皮膚などで女性の若々しさを保っています。このほかにも、エストロゲンは記憶や認知機能を助けています。

では「エストロゲンが増えると頭がすっきりする」とは、どのような理由が考えられるのでしょうか。

エストロゲンと神経伝達物質との関係性

「集中力が上がる」「やる気が起きる」などの信号は神経伝達物質のはたらきにより起こります。

脳からの信号によって卵巣からエストロゲンが分泌されます。そのエストロゲンが脳と連携し、神経伝達物質を増加させます。

エストロゲンが多くなるとセロトニンなどの神経伝達物質も増加します。逆にエストロゲンが減少する更年期や出産後は、神経伝達物質のバランスが崩れ、落ち込みやすくなったり、イライラしたりするなど気分障害やうつ病が増加するともいわれています。

 

主な神経伝達物質のはたらき

  • セロトニン … 心を落ち着かせる
  • ドーパミン … やる気を起こさせる
  • アセチルコリン … 認知機能を高める
  • ノルアドレナリン … やる気や意欲を高める

神経伝達物質が増加するということは、脳が活性化し、集中力がアップし、または気持ちが落ち着き、頭がクリアになるといえるでしょう。

 

頭がスッキリ、晴れやかになる期間はいつ?

このエストロゲンが分泌され、いちばん頭がすっきりしているときはいつなのか…。それは生理後から排卵までのおよそ一週間です。

排卵後の生理前の1週間は、PMSやPMDDのような症状に悩まされる方も多くなります。

エストロゲンは、排卵を機に減少に転じます。生理前の気分障害はエストロゲンの急激な減少による、その下げ幅によって起こるという説もあり、どのみち沈みがちになったりイライラしたりするのは、神経伝達物質のバランスが崩れてしまうためといえるでしょう。

 

 

ではどのようにエストロゲンを増やすのか?

実はエストロゲン自体を増やすことはできません。

しかし、植物性エストロゲンといわれる大豆イソフラボンは大豆食品などで補うことができます。大豆はもちろん、豆腐やみそ、納豆などの大豆発酵食品から摂ることが一般的です。

 

近年注目されているエクオール

近年では大豆イソフラボンが腸内細菌によって変化した「エクオール」という物質が注目されています。

このエクオールは、大豆イソフラボンよりもエストロゲンに近いはたらきをするといわれており、サプリメントで販売されています。日常生活で大豆食品を欠かさず食べている人にはサプリメントはあまり必要ないかもしれませんが、食生活が偏りがちな方や、大豆食品が苦手な方はドリンクやサプリメントで補うのもよいでしょう。

 

しかし、エストロゲンには女性の若々しさを保つ大切な役割がありますが、大豆イソフラボンの摂取には、乳がんの発生や再発のリスクも指摘されており、厚生労働省によると摂取量は、16~22mg/日(平成14年国民栄養調査/厚生労働省)とされています。

気分の不調が続く人は…

からだのはたらきとはいえ、イライラや抑うつの状態が続くのは嫌なものです。40代前後はプレ更年期といわれ、ホルモンバランスの「ゆらぎ」が発生し、これまでになかった体調や気分の変化に不安になりがちになります。

これもエストロゲンの減少による神経伝達物質のバランスの乱れが一因です。

あまりにも眠れない日が続いたり、逆に休みの日は過眠でだるさが出たりする場合は、仕事や普段の生活に影響を及ぼすこともあります。

そんなときは思い切ってお医者さんに相談してみるのもひとつです。副作用のリスクが少なく、比較的穏やかな漢方を処方するお医者さんもありますので、聞いてみるとよいでしょう。

 

 

おわりに

エストロゲンの働きは、一生のサイクルと、生理周期の月ごとのものがあります。気分の不調という影響もある反面、女性のからだをつくるための大切な働きがあります。そして、神経伝達物質とともに脳と連携をとり、認知機能や記憶力を助けています。

ライフスタイルや環境の変化や、30代後半から「ゆらぎ」がちになるホルモンバランスを整えるために、規則的な生活で朝日を浴びるとともに、バランスのとれた食事を心がけ、快適な毎日を過ごしたいものですね。